寒い季節にマラソン大会にエントリーしたり、ランニングで汗を流す方も多いと思います。そこで、ランニング中やランニング後に膝の痛みや気になる違和感に悩んだ経験はないですか?今回は「ジャンパー膝」について紹介です。
ジャンパー膝とは
ジャンプ動作の多い動作やランニング動作によって膝のお皿周囲の靭帯または腱にストレスがかかり痛みが生じる病態です。
正式には膝蓋靭帯炎、または膝蓋腱炎と呼ばれます。
その名の通りジャンプ動作の多い競技選手に多く見られますが、ランニング動作が多いスポーツにも多く見られます
原因
特にバスケットボール、バレーボール、サッカー、陸上競技などの選手に多く見られます。10歳代後半に多く、男女比は3:2から3:1で男性に多く見られます。
太ももの前にある筋肉を大腿四頭筋と呼びます。
大腿四頭筋は太ももの前から膝のお皿である膝蓋骨(しつがいこつ)を通り、膝蓋靭帯(しつがいじんたい)、または膝蓋腱(しつがいけん)となって脛骨に付着します。
ジャンプなどで膝を曲げて体重がかかる際は、この大腿四頭筋がゴムのように伸び縮みをします。その際に膝のお皿周囲には強く引っ張られるストレスがかかります。その繰り返しによって膝蓋靭帯や大腿四頭筋腱に細かい損傷が起きて痛みが生じるのがジャンパー膝の病態・原因です。特に大腿四頭筋が硬いとその伸び縮みによって引っ張られるストレスが強くかかるためジャンパー膝になりやすい原因となります。
ジャンパー膝の症状は膝のお皿の真下部分、お皿の上部に痛みが生じます。特にスポーツで膝を曲げ伸ばしや、ジャンプ、ランニング、ダッシュ動作時に痛みが生じます。
症状
初期では運動後に痛みが生じますが、進行とともに運動中にも痛みが出るようになり、スポーツに支障をきたします。以下にジャンパー膝の症状の進行度を示した病期分類を示します。
病期分類 Ⅰ度
運動後に痛みが生じるが運動には支障がない。
Ⅱ度
運動前後の痛みはあるが運動中は軽快し、運動は継続可能。
Ⅲ度
運動中に痛みが生じる、運動に支障あり。
Ⅳ度
膝蓋靭帯の完全断裂。
ジャンパー膝で痛みの出る部位は
- 膝蓋靭帯のお皿の真下部分が70%
- お皿真上から大腿四頭筋腱の部分が20%
- 膝蓋靭帯の脛骨粗面付着部が10%
とされています
ほとんどは保存療法で治癒しますが、膝蓋靭帯の部分断裂や変性をきたすと難治性となります。また大腿四頭筋腱の付着部は自己修復能力が低いため症状が悪化する前にしっかりと治すことが大切です。
保存療法
①スポーツは休止して患部を安静に
ジャンパー膝の原因は運動によるオーバーユースのため患部への負担を減らして安静にする事が大切です。痛みをこらえて繰り返しストレスをかけると慢性化、重症化する可能性が高くスポーツ継続に大きな影響を及ぼします。
②患部のアイシングを
痛めて間もない時期や、患部に熱感があっとり、腫れがある場合は氷などを用いて患部をアイシングします。冷やす事で痛みの軽減、腫れや熱感を抑える効果が期待できます。
稀ですが重度の場合では膝蓋腱の変性した部分の切除などの手術を行う場合もあります。
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